肥満論
written byとぴあ

肥満の原因は約7割が生来の遺伝であるのが定説!ところがその肥満者を自己管理のできない怠け者だ云々と馬鹿にするのは、黒人を肌が黒いと蔑視するのと同様に社会的差別!確かに不健康な肥満は改善しなければならないけれど、それ以外で肥満者が不利益を蒙るのは概して社会的差別が存在するから!つまり太っていること自体が悪いのではなく、太っていることを醜いと感じ蔑視する社会的価値観こそが問題なのです!この社会的偏見があるから逆に健康を害してまでも痩せることに血眼になる愚かな女性が増加し、まんまとエステを太らせている!
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BOOCS──至福のダイエット!?

ダイエットに興味を持っている人なら、「BOOCS(ブックス)ダイエット」についてはご存知のことだと思います。肥満が嫌で痩せたいと思い‘ダイエット’するような人は、いくら食欲があっても食事制限をして、好きな物も食べないで我慢しようとするのが通例の行動様式でしょう。しかしこのダイエット法はそのような常識を全く覆えすルールを示して、肥満を回避し痩身しようと提唱しています。
(注1)

この方法は、九州大学健康科学センターの藤野武彦教授が提唱したものです。BOOCSとは、Brain(脳)Oriented(に適応した)Obesity(肥満)Control(調整)System(システム)の頭文字による造語ですが、彼は、痩せようと‘ダイエット’すればするほど、かえって太ってしまう多くの患者さんの実態を踏まえて、肥満の原因は‘脳疲労’であるという仮説をたてました。

いわゆる‘肥満恐怖’から、痩せようと無理な‘ダイエット’を押し進めるほど、かえって‘ストレス’が溜まってしまい、その‘過剰ストレス’、言い換えれば‘過剰情報’を脳が処理しきれないために、‘脳疲労’が生じ、食欲中枢の異常をきたす結果、意図に反して肥満してしまうのだというのです。(ダイエットジレンマ!)

このダイエット法の基本的ルールは次の通り。

(1)たとえ健康に良いこと(運動、体によいとされる食べ物を食べることなど)でも、嫌なら決してしない。

(2)たとえ健康に悪いこと(煙草、甘いものを食べること)でも、どうしてもやめられないならそのまま続ける。決して禁止しない。

(3)健康に良くて、しかも自分が好きなこと(好きな食べ物)を一つでも始める(食べる)。

具体的には──

1)昼でも夜でも良いですが、一日に一回は、満足のいくまで楽しく‘快食’をする。
2)朝食は食べても食べなくとも良いが、食べるにしてもお茶や味噌汁だけのような軽食にする。
3)昼食は普通に食べて良い(和食が好ましい)。
4)間食もしたければ、りんごやおにぎりなどを食べて良い。ただしできるだけ菓子類は避けるべきだけれど、脳に良いといわれる黒砂糖などをたっぷり入れた紅茶などはOK。

要するに、嫌いなことをして‘ストレス’が溜まることを極力回避して‘脳疲労’を起こさなければ、‘生き生きとやせる’ようになるというわけです。
(注2)

確かに、‘BOOCS(ブックス)ダイエット’が提唱する‘基本ルール’というものは、常識破りな所があり、失敗を繰り返しダイエットに苦労している、いわゆる多くの‘ダイエッター’
(注3)には、今度こそ成功するだろうと、目にとまりやすく、受け入れやすい(甘言!)だけに、実践しようとする人も増えているのではないかと思います。

しかし、この方法についてダイジェスト的な紹介しか読んでいないので、あくまでも知り得た範囲で判断しているに過ぎませんが、ちょっと理論的に考えただけでも、非常に危うい‘ダイエット法’ではないかと僕はは考えています。

特に「(2)たとえ健康に悪いこと(煙草、甘いものを食べること)でも、どうしてもやめられないならそのまま続ける。決して禁止しない」という基本ルールには問題があります。

例えば糖尿病を患っている人に対しても、食べたいのであれば甘いもの(例えば黒砂糖)をいくらでも食べても良いと言うのでしょうか?しかしそれは命にもかかわる危険なことにもなりかねません。(注4)多分、病気の人には勧めないのでしょうね。でも、このように禁止し特例を設けるだけで、もうこの‘ダイエット法’は破綻しています。(そもそも‘diet’とは「病院などの規定食」!)

それでも、百歩譲って、病人は例外ということは認めましょう。それでは、喫煙や飲酒はどうでしょうか?ニコチンやアルコール摂取など、明らかに健康を害する場合でも、喫煙や飲酒を禁止したら、ストレスのために‘脳疲労’を生じ肥満を助長するので、‘痩せる’ことができるなら、そのような不健康な行為も肯定すると言うのでしょうが…

あくまでもこの方法の理論的整合性を保持しようとするならば、覚醒剤中毒でさえ認めることになると思います。‘痩せる’ということを絶対的な目的とするならば、いわゆる‘覚醒剤ダイエット’は最強の食欲抑制型の‘ダイエット法’であるに違いありません。しかしそれは肉体・精神をボロボロにして生命までも奪ってしまう危険で邪道な方法です。
(注5)

痩せるなら死んでもいい!?そんな馬鹿な!

多分BOOCS理論の立場からは、‘快食’ということをキーワードにして、このようなことを当然否定するのでしょう。ダイジェスト的な知識しか持ち合わせていないので、僕は誤解しているのでしょうが、一般の人たちも、せいぜい僕ぐらいの知識しか持たないまま、この‘ダイエット法’を実践すると思うので、多分に誤解を招きかねない‘ダイエット法’だと思います。

すなわち、世間一般では、このBOOCSダイエットは、、いわば‘食べるダイエット’として、カロリーや栄養を気にすることなく思う存分好きな物を好きなだけを‘食べてもよいダイエット’として認識されていると思います。(アメ!)

しかし、実際には、‘朝食抜きダイエット’、(あるいは黒砂糖入りの紅茶一杯だけの非常に軽い朝食)も加味されています。(ムチ!)実は、これこそ、まさに、ストレスの原因でなくてなんでしょうか!?

例えば、夜などに一日一食だけ好きな物を好きなだけ‘食べる’ことができたとしても、あるいはむしろそういう暴飲暴食を許しているが故に、朝や昼には、極端な食事制限をしなかればならないような、‘ダイエット法’は、理論的に自己矛盾をはらんでいます。

因みに、『やせるマンガ』という雑誌の投稿欄に読者の体験談が載っています。まさにBOOCSダイエットの自己矛盾が露呈していて、笑えます。

「‘BOOCSダイエット’なんとなくやってたんだけど、春から夏にかけて2〜3kg減りました。それで、今度は真剣にやろうと思って、本を買ってまじめにチャレンジ。そうしたら、逆にプレッシャーになって1日1快食が1日3快食に。夏から秋にかけて元に戻ってしまいました。『快食以外は軽くしないといけない』と思うと余計に食欲が〜!!新潟県 H・S 25歳」(注6)

実際には、実践するに当たっては、細かい注意がなされているので、聞きかじりの生半可な‘なんちゃってBOOCS’ではだめだと言われているようですが、その細かい注意というのも、従来からの成人病予防で言われていたようなことであるらしく、従って、本来の意味の「ダイエット」(健康な体を育むことが目的)にこのBOOCS自体が効果があるのか、疑わしいと僕は思っています。

そもそも‘脳疲労’などという概念を持ち出さなくても、間違った勘違い‘ダイエット’をすれば、かえって肥満してしまう原因の説明はつきます。

例えば過剰な食事制限をして、飢餓状態に自らの体を追い込むなら、体は生命の危機を回避する防衛本能から、脂肪を蓄積させるために太ろうとするのは自然なことです。
(注7)

と言うよりも、過度に肥満あるいは痩身していれば、体は、そのホメオスタシス(恒常化)機能を働かせて、定常状態を取り戻そうとして、痩せたり、太ったりするように自らを自然に調整するわけです。
(注8)

従って、痩せ過ぎていれば、太ることはあくまでも体の健康な営みであるのに、いくら現在の社会的価値の主流が‘痩せることは良(善)いことだ’ということだからといって、それにおもねって‘生き生きとやせる’という一面だけを強調する(提唱されていることは実際はそうではないにしても)BOOCSダイエットには問題があります。

要するに「快眠」「快食」「快便」という常識的な活動をしていさえすれば、特別な手段を行使することがなくても、各人に適した体、すなわち 「私としての体」
(注9)になるはずなのです。

たとえ各人に適った「私としての体」が、各時代・各社会にとって好まれる体型(モードとしての体型)(注10))とは違っていたとしても、その相違はまさに「個性」であると見なすべきなのであり、‘太ることは良(善)くない’‘痩せていればいる程良(善)い’という価値観が支配的な現在の風潮は絶対間違っています。

「自然なリズム、すなわち空腹になったから食べて、わあおいしいと興奮があって、少し休息があって、また活動して、という体のリズム」
(注11)に従うということ、その意味での「私としての体」の復権が今こそ必要なのだと思います。

          *   *   *
                BOOCSダイエット体験記

※上記の拙文を読まれた読者でBOOCSダイエットを体験された方からメールが届きました。いわゆるこのダイエットの実態がよく分かる体験記ですので、ご本人の許可を得た上で、そのまま公開致します──

こんにちは、omatsuと申します。

boocsダイエットに関しての反論をwebにアップされているのでメールを送ることにいたしました。長いメールで申し訳ないのですが、お付き合いくださいませ。反論メールではないのでご安心ください。

実を申しますと私はwww.boocs.co.jpで紹介されている医院で治療を受けました。その際の体験をお教えしたく思います。

いろいろとお調べになられたようなのでご存知と思いますが、boocsはあまり実態が知られていないダイエットです。日経ヘルスにも紹介されているし、まともなダイエットとばかり思ってたのですが・・・

http://medwave.nikkeibp.co.jp/health/taiken/tai000901.html

実際の治療は非常に問題があるものです。でもboocsを紹介しているwebや本ではその実態は全然紹介されていません。わざわざ反論webまで作る気分にもなれないので、反論文をアップされている貴サイトに情報をお送りいたします。

私が治療を受けた医院では「脳疲労」を回復するために、さまざまな抗うつ剤や抗不安剤に睡眠薬も処方しています。びっくりしたのでインターネットで調べたのですが、どれもこれも薬としては非常に危険なものばかりです。

・ルボックス……気分改善
・ドグマチール…胃腸や精神症状を改善
・ハルシオン……睡眠薬
・アローゼン……下剤
・デパス…………精神の緊張・不安、筋肉のこりをほぐす

知合いのお医者さんに聞いたところ、病気でも無い人に処方するのは医師としてモラルが欠けているとのコメントでした。

薬を処方した医師のコメントでは「通常のうつ患者の1/6の量なので問題は無い」とのこと。でも何だかオカシイですよね。

私はルボックス・ドグマチールを朝食後と夕食後に一錠、デバスは毎食後と寝る前、ハルシオンとアローゼンは寝る前に一錠でした。とくにデバスはイライラしたらいつでも飲むこと何錠でもかまわない、いっしょに黒砂糖も取るようにとの指示でした。人によってはもっと飲んでるみたいです。

ハルシオンに関しては、処方した薬剤師さんから「普通に眠気があったら是非飲まないことを勧めます」と念を押されました。「○○先生は変わったの治療方針ですから・・・」なんてコメントも。

真剣にオカシイなと思ったのは、boocs.co.jpを主催している団体のリーダーのレクチャーを有料で受けさせることです。医者でも何でも無いオバサンのお話に一時間近く付き合ったのですが、治療行為の一部として400円徴収されました。

値段は別として、レクチャーの内容はおばさんの自慢話と団体が販売している補助食品の宣伝でした。なぜ医院に治療を目的として通ってるのに、資格も免許も無い人の自慢話と製品宣伝にお金を払うのか? また、補助食品も非常に値段が高いものばかりです。

また「脳疲労」の回復のために黒砂糖の摂取を進められますが、それも団体が販売しているもので600円。街に出れば200〜300円で売ってる品物を倍の値段で売っています。黒砂糖の値段はたいしたことは無いですが、その他の製品はびっくりするような値段ですよね。。。

医師もおばさんも「無理には勧めないが、杖として使ってほしい・・・」を繰り返します。「杖」とは肥満者がboocsを利用して痩せるための道具の比喩らしいのです。

要するに医者とダイレクトマーケッターが結託した新しい手口のamwayとしか聞こえません。その上危険なうつ剤etcまで飲ませるので、悪質もいいところかと思います。

boocsの指導をする医院が全て上記の薬を処方するのかどうかは不明です。でも、お医者サンはカルテに手書きではなく「ハンコ」で一連の薬をポンと押してました。

二週間以上、上記の薬を飲んでいました。一日中眠く、下剤の効き目が辛くてベッドにずっとふせてることも多々ありました。医師に伝えたところ、デバスの摂取を減らすよう指示を受けました。でも下剤の件は、「アフリカ人は日本人の三倍の排便量がある」で却下でした。排便は下痢状態ではないのですが、一日中便意があるのは非常に辛い状態です。

でも藤野武彦教授の本でもwebでも、抗うつ剤や下剤を処方していることは紹介されていません。またおばさんのレクチャーが義務付けられていることも紹介されていません。

おばさんの話では、過食症に悩む人たちの相談を受けたりしてるそうです。真夜中の1〜4時はずっと相談の電話対応で忙しいそうです。現在の医療保険制度では、内科の医師はコンサル行為では報酬がほとんどないのが理由だそうです。で、彼女が相談窓口となってるとのこと。携帯番号まで教えてくれました。

でも、そんな人たちこそ、ちゃんとした神経科で治療を受けるべきでは。

肥満で悩む方の中にはうつ病の可能性もありえるかと思いますが、あまりにも弱者をバカにした行為で非常に怒っています。

私は保険の適用範囲で治療を受けただけなので、金額的には被害は少ないです。でも普通の倍の値段の黒砂糖を買ったり、変なおばさんの話にお金を払ったり、薬で体調が悪くなる等、十分にさんざんでした。

とまぁ、「至福のダイエット」の経験者の感想です。うつ剤で頭がパーにならなかっただけラッキーだったんでしょうね。

(2003.5.3)

(注1)
下記は、このダイエット法を総合的に紹介しているホームページ。
http://www.boocs.co.jp./top.html

なおこの稿を書くにあたり、このダイエット法を要約して紹介している下記の文章を特に参照しました。

「ストレスをためず自然にやせるBOOCS(ブックス)ダイエット」『もっとヤセたい!』(特集アスペクト16)P.225
(注2)
上記のホームページのタイトルが「BOOCS DIET生き生きとやせる」であり、藤野教授の著作もまた『生き生きとやせる〜ブックスダイエット』というタイトルであるように、‘やせる’ということを前面に押し出しています。
(注3)
ダイエットという快楽
(注4)
別腹の罠──過食症
(注5)
「覚醒剤ダイエット──食欲抑制型・2か月で20kg減の後は無限のリバウンド地獄」『もっとヤセたい!(特集アスペクト16)』P.170〜175
(注6)
『やせるマンガ』(2001.5月号)
(注7)
太る生物としてのヒト
(注8)
痩せるメカニズム──レプチン効果
(注9)
「拒食症の哲学的考察」(2000.11.21)で紹介した森川那智子さんによる概念。
(注10)
社会的価値観の反映としての体型
(注11)
森川那智子「“やせたい”願望の輪廻から抜け出そう!──ダイエットすればするほど太っていく不思議」『もっとヤセたい!(特集アスペクト16号)』P.222

(「BOOCS──至福のダイエット!?」2000.11.23初出と「私である体の復権を!」2000.11.24初出の2つを再構成)

ラ●ザップの理屈と弊害

原則:炭水化物を極力摂らないで筋トレするダイエット!? 37万円也

(1)原則、脳の栄養は糖分。一定量常時流れている血液中の糖分を摂取。6分でもその糖分摂取が途絶えると人間は死ぬ。

(2)普通、糖分を摂るのは炭水化物から。

(3)炭水化物を摂らない場合、脳は緊急の時に備えて蓄えている肝臓から糖分を摂取する。⇒つまり肝臓に凄い負担がかかる。

(4)その肝臓に蓄えられている糖分もすぐになくなるから、そこで緊急事態を察知した脳は筋肉に蓄えられていた糖分で賄おうとする。(それでも足りなければ、いわば排気ガスとでも言うべきケトンの利用が脳延命の最終手段となる。⇒その際、酷い体臭が発生。)

(5)何もしないと筋肉は削がれるから、タンパク質を大量に摂取して筋トレが推奨される。

(6)このような無茶苦茶をやるから、結局、体は飢餓の緊急事態に備えるために、すぐに脂肪を蓄えようとする太るリバウンド体質になってしまう。


カロリー一元論の落し穴

「ダイエット(diet)」に当たるギリシャ語はそもそも「生活様式」という意味であり、英語のdietは、もともと広義には単に「食事」という意味です。だから「肉食」はmeat dietと言い、「精進料理」をvegetable daietと言います。そして狭義には、病院などで出される「規定食」という意味の言葉です。この意味で、「ダイエット」の基本は、定められた規範に基づいて自分の生活を律し、とりわけ食事に気を付け、それを自律的にコントロールすることで健康的に生活することです。

しかし、一般には、ダイエットとは、単に減量することだと勘違いされていますが、この通俗的なダイエットが原理としているのは、‘肥満’は、「摂取エネルギーが消費エネルギーより過剰になるからだ」という短絡的なカロリー(エネルギー)一元論です。
(注1)すなわち──

摂取カロリー量>消費カロリー量:肥満
摂取カロリー量−消費カロリー量=過剰カロリー=肥満

例えば、りんごとジャガイモは違う種類の食べ物ですが、その質の違う物を比べる場合、例えば計量秤で重さを測るという等質化=量化という行為によって比較することができるように、食べ物の質を無視してカロリーに還元することによって、カロリー量を基準にして食べ物を選択しようとするダイエット方法であるわけです。

この発想は、勿論、それなりに評価はできますが、往々にして、カロリーが少なれば少ない程良い
(注2)という短絡的な考えに陥りがちな発想でもあります。

しかし、机上の計算通りに、カロリー計算しようにも、そう上手く行くものではありません。痩せれば基礎代謝率は下がり、それに伴って消費するカロリーも少なくなり、痩せにくくなるからです。

カロリーが少なければ少ない程良いという発想からすると、例えば、繊維質以外の栄養素はないけれど、カロリーゼロに近いこんにゃくなどは最もダイエットに適した食べ物という結論になるわけですが、こんにゃくだけを食べているなら確実に死にます!

本来、食物の質を無視して栄養バランスの悪い食事をしていると、必須の栄養素を摂取できるまで体が欲求しいつまでも食欲は止むことはなく、飢餓感が増し、かえって過食になってしまい、結果的には意図に反して肥満してしまうということを認識すべきです!

その点、日本人の主食であるお米は、主要栄養素である炭水化物の他に、他の穀物と比較すると相対的にたんぱく質やビタミンB・E,カルシウム、ミネラル(鉄分・亜鉛)などが豊富です(下表参照)。

ご飯1杯150g 他食品目安
エネルギー 222kcal ハンバーガー1個
たんぱく質 3.9g 牛乳 130cc
ビタミンB1 0.05mg キャベツ100g  
ビタミンB2 0.02mg 大根 100g
ビタミンE 0.3mg ごま小さじ 8杯
カルシウム 3mg トマト小1/3個  
鉄 分 0.15mg とうもろこし1/3本
亜 鉛 810υg ほうれん草 1/3束
食物繊維 0.6g セロリ 50g

因みに高級米になる程、たんぱく質の含有量が少ないのが通例です。

脂質は少なく、食パン1枚(6枚切り)に含まれる脂質はごはん3杯分に相当します。太るというのは体脂肪が増えることであるということから、脂肪分が少ないことはダイエットには良いと考えられがちですが、そいうわけでもありません。

例えば、ご飯だけを食べていても、お腹は膨れるけれど、いつまでも満腹感が得られないという経験はないでしょうか?実は空腹感・満腹感は胃袋の問題ではなく、あくまでも脳の問題なのです。(注3)

空腹感が止み満腹感が得られるのは、身体の基礎代謝に必要なエネルギーおよびその他の活動に必要なエネルギーを満たす十分なカロリーが摂取されるだけでなく、バランスよく栄養が身体に満たされた時なのです。ですから逆に、必要不可欠なカロリーだけでなく必須栄養素がバランスよく摂取されない限り、いくら食べても空腹感が止むことがないということになりかねません。

なお、栄養のバランスは、三大栄養素が通常次の割合の時に取れると言われています。

炭水化物6・たんぱく質2・脂質2(注4)

いくら栄養的に優れていると言っても、米単品だけでは栄養のバランスは良くありません。従って、食事は主に炭水化物であるご飯に、たんぱく質や脂質を考慮したおかずを組み合わせることがベターです。(注5)

ですから、生命維持のための最低限のエネルギー量である基礎代謝量以下のカロリーを一日の摂取目標に設定するような低カロリー・減食ダイエットは言語道断ですが、炭水化物しか摂らなかったりたんぱく質しか摂らなかったり、あるいは油を全く摂らないような、栄養バランスの悪い単品・偏食ダイエットも良くありません。断食や単品だけ食べる、間違った禁食・節食あるいは偏食‘ダイエット’をすればする程、むしろ怠けるどころか努力すればする程、かえって逆に肥満したり、一時期は体重が減ってもリバンドしてしまう悲劇が起こってしまうのです。

そもそも、「肥満」の原因には色々あるのであって、このような単純な過剰カロリー一元論だけで説明できるものではありません。ところが、このような通説が流布しているが故に、‘肥満者’は、‘食っちゃ寝、食っちゃ寝’して、食べて(摂取カロリー過剰)、かつ寝てばかりいて、ろくに運動もしない(消費カロリー過少)怠惰な人間であると短絡的に考える人々が多くなるわけです。すなわち──

食っちゃ+寝
=過食(摂取カロリー大)−運動不足(消費カロリー小)
=肥満者
=自己コントロールのできない怠け者
(注6)

この単純な過剰カロリー一元論にとり憑かれているものだから(単純故に憑依しやすいわけですが…)、過食したら、密かに嘔吐するという摂食障害も起こり得るのです。森川那智子氏は『みんな、やせることに失敗している』で、‘過食・嘔吐’の摂食障害を次のように規定しています。

「過食後の嘔吐は、食べてはいけないのに食べてしまったその“許せないカロリー”と“許せない行為”を、いったん帳消しにしようという企てです。そうすれば振り出しに戻って、もういちど、今度はやり直せる気がします。」
(注7)

しかしこれは、「“やせたい”願望の輪廻」
(注8)に陥っているに過ぎません。

自らの過食症の体験から、非常にラジカル(根源的)な批判を、カロリー計算に翻弄された‘ダイエット’に加えているのはジェニーン・ロスです。

「カロリー消費にもとづいたダイエットには、寂しいとか悲しいとか、腹が立つとか、嬉しいといった感情の入り込む余地など残されていないのです。自分自身や人間関係、人生について私たちは一週間、毎日同じように感じているという仮定にもとづいていますから、私たちの心理的、情緒的な欲求は、排除されてしまうことになります。ダイエットは、私たちをほかの動物から区別する特徴の一つ──選択という権利を奪ってしまうのです。」
(注9)

「もう何年もの間、カロリーを計算し、何を食べたらいいのか人から指示され続けてきたために、私たちは食べてもいいものとそうでないものの厳密な区別をし、低カロリー食品なら何でも食べていい、というようにしてきてしまったのです。」(注10)

一元的なカロリー計算によってしか、食物を選択しないということは、言い換えれば、家畜が餌を与えられて、それを受動的に食べているのと同じであり、実は何も選択の余地のない行動なのです。ジェニーンの、「カロリーのことは忘れてしまいましょう」という提案は、人間にとって「食べることの意味」とは何かに関わる根源的な提案であると言っても過言ではないでしょう。


(注1)

因みに、日本でダイエット本として初めてベストセラーになったのが『ミコのカロリーブック』でした。この著者は、‘ミコ’こと弘田美枝子さんです。彼女は十代でポップス歌手としてデビューした当時(「子供ぢゃないの」1961年)のイメージは、あのインスタントラーメンの「エースコック」のイメージキャラクターである、‘子豚ちゃん’に似て、ぽっちゃりして元気はつらつでした(‘ふとったパンチ娘’)。そのイメージからか、田辺製薬のCMでは、‘今日の疲れもアスッパラ’と歌っていました(1964年)。その彼女が数年後、18kgの減量をし、かつ美容整形もして、すっかりスレンダー体型の‘大人の女’に‘イメージチェンジ’してカンバックした時(1969年)、ヒットさせたのがメランコリー調の「人形の家」という曲でしたが、何かこの曲名には象徴的な意味があるように思えます。
(注2)
70年代の資源を大量に浪費する高エネルギー大量生産・大量消費によって引き起こされた資源枯渇・環境問題に対する反省、反動から‘Small is beautiful’のエコロジー的な考えが、ダイエットにも影響していることについては、言及しました。
通俗エコロジーと痩身志向的価値観
(注3)
痩せるメカニズム──レプチン効果
太るメカニズムとダイエットの基本──レプチン過多と適量化
グレリン──食欲増進ホルモン
(注4)
炭水化物の割合を低めにして、たんぱく質や脂質を多めに摂る「4・3・3」の割合が良いと提唱する立場もあります。
バリー・シアーズ『食事革命 4・3・3ダイエット―肥満解消、病気予防、そして長寿をもたらす食事法
(注5)
スローフードとしての粗食
(注6)
ブス>デブの論理
(注7)
森川那智子『みんな、やせることに失敗している』JICC出版局、104頁。
(注8)
森川那智子「“やせたい”願望の輪廻から抜け出そう!──ダイエットすればするほど太っていく不思議」『もっとヤセたい!(特集アスペクト16号)』
(注9)
ジェニーン・ロス『食べ過ぎることの意味──過食症からの解放』誠心書房、斎藤学監訳、佐藤美奈子訳、34頁。
(注10)
同上、35頁。

標準体重>美容体重>アイドル体重!?

フジテレビの番組「ビューティコロシアム」は、美容整形をすることで、人生を変えようとする女性たちをよく登場させています。例えば、‘出っ歯’のために、「気持ち悪い」とまで言われて蔑まれた女性が美容整形の結果、すっかり顔が変わったばかりか、性格まで明るくなって周りからもちやほやされているような事情を知ると、美容整形も肯定したくなる気持ちになります。
(注1)

しかし、この番組で先週12月7日に放送されたアイドルタレントのダイエット企画
(注2)は、非常に馬鹿げていると思いました。登場したのは、榊原郁恵や深田恭子を発掘したあの堀プロタレントキャラバンで昨年(2000年)4万人の応募者の中から、審査員特別賞に輝いた16歳の綾瀬はるか。(注3)

番組のナレーションでは、こう言っています──

「スターへの道は約束されている筈だった。が、そんなはるかの身に予期せぬ事態が起こる。上京してわずか4ケ月の間に体重が激増!!スカウトキャラバン応募当時51kgだった体重がなんと58kgまでアップ!!特にお腹のあたりや脚に贅肉がつき、アイドルとは思えないスタイルに変貌してしまったのだ!!」

そこで綾瀬はるかの証言──

「1ケ月間がんばれなかったなら、何に関してもがんばれないと思うので、もし本当に痩せれなかったら、実家に帰ります」。

こうして、目標体重を51kgと設定し、1ケ月で7kgの減量を誓い、それが達成されなければ芸能界から引退することを彼女は約束したわけです。

この番組では、たかの由梨がアドバイザーとして参加していますが、彼女の他に運動科学や運動生理学や栄養学の専門家たちの指導のもと、‘ダイエット’が敢行されることになります。具体的には、次のことが実行されました──

(1)食事は普通の女性の1日の摂取カロリー2200kcalの半分以下の1000kcalにする。
(2)運動で1日900kcalを消費する.。
すなわち、摂取カロリーを抑え、運動でもカロリーを消費する
さらに、(3)エステに通うというものでした。

そして──

5.8kg減量して体重52.2kgに。目標体重であった51kgにはわずか1.2kg足りないという結果でした。
(注4)

再度確認しましょう。彼女の身長は164.5cmで、スカウトキャラバンで選出された当時の体重は51kgでした。そしてデビュー後、4ケ月で7kg体重が増え58kgになりました。

番組ではこの事実を‘予期せぬ事態’として、‘アイドル’としては不適格な体重であるとして、選出時の51kgの体重に戻すべく、1ケ月という短期間に7kgの減量を強要し、いわば‘美容体重’
(注5)ならぬ‘アイドル体重’という鋳型にはめようとしたわけです。

しかし、彼女の体重の増加を‘予期せぬ事態’などというのは、全くの欺瞞でなくてなんでしょうか!?16歳の育ち盛りの年齢であり、この程度の体重の増加は容易に予想できたことです。

そもそも身長164.5cmで58kgというのは、いたって健康体であることは番組でも認めています。日本肥満学会の定める‘標準体重’
(注6)では59.53kgなのですから、58kgでも痩せているくらいです。まして、選出時の‘アイドル体重’とでもいうべき51kgという体重は‘標準体重’に照らせば、かなり痩せ過ぎです。

番組では、「わずか4ヶ月で7kgも太った」と言いながら、減量する段にになると、1ヶ月しか期間を与えないのも、おかしな話ですが、一般に1ケ月に体重の5%以上の体重減は、必ず後にリバウンドを引き起こし、身体に悪影響を与えると言われています。ましてや16歳という育ち盛りの少女には‘虐待’とでも言ってよい程の暴挙ではないでしょうか!?

結果的に目標体重まで1.2kgの差で減量できなくて本来は芸能界を引退する羽目になるところでしたが、周りの温情によって、あの企画はまた続行されることになりました。

うがった見方をすれば、彼女を売り出し知名度を上げるためのプロダクション側の企画なのでしょうが、1.2kgの体重のほうが、タレントスカウトキャラバンよりも価値があるというのですから、噴飯ものです。

目標体重に達しないという結果も初めから計画に入っていて、企画を引き伸ばす‘やらせ’の匂いがしますが、体重を無理やり減らす、‘間違ったダイエット’をTVで放送することは、あの少女タレント本人にとってだけでなく、社会的に悪影響を与えるものです。

嘆かわしいことに、現代の日本では、育ち盛りの小学生までもが自分の体重を気にして、‘ダイエット’にいそしんでいるという事実があります
(注7)。現在、日本のテレビに出演しているアイドルタレントが総じて痩身であり、彼女たちに憧れる一般の少女たちが強く影響を受けているのは想像に難くありません。

(注1)
ビューティコロシアムSP
(注2)
プチ整形アンケート
(注2)
綾瀬はるかプロフィール
(注3)
『Birth in Bali―綾瀬はるかファースト写真集』 集英社,2001年1月発行
『ひと夏…。―綾瀬はるか写真集』 バウハウス、2002年12月発行
(注4)
日本の多くの若い女性たちは、健康の観点からする‘標準体重’よりも大幅に軽い‘美容体重’なるものを理想の体重と考えています。
OLヴィジュアル系の思想1
(注5)
標準体重=22x身長(m)x身長(m)
(注6)
「過度ダイエットで『10代でも更年期』」メルマガ2000.11.06号
「社会病理としての小学生の肥満恐怖」メルマガ2001.08.12号
「小学生だってやせたいもん 女子7割、男子4割以上」朝日新聞2001.7.6夕刊 メルマガ2001.08.12号
「小学生はダイエットして美しくなるか?」メルマガ2001.08.13号
「Re:社会病理としての小学生の肥満恐怖」メルマガ2001.08.14号

(2001.12.14初出に加筆)


プチ整形アンケート

『アエラ』('03.2.10.P.64-65)でプチ整形に関する興味深いアンケート(http://www.macromill.com)が紹介されています。

「」内は、日本顔学会理事・村澤博人氏のコメント

・美人/ハンサムだと得だと思う?♀67% ♂50%
・自分の顔に不満?♀68% ♂42%
・プチ整形したい?♀40% ♂14%

「昔は議論しあって、思想的なことで仲間やグループができた。今は外見でグループ分けができてしまう。第一印象がよくて他人によく見られないと仲間にも入れてもらえない。外見で自分のポジションが決まってくる。それだけ外見の持つ意味が深まっているということでしょう」

「90年代に入ってピアスをする人の割合がぐっと増えた。この頃から、自分の体をいじることへの抵抗感はなくなってきていると思いますね。髪を染めるのだって、今は普通でしょう」

・身近な人がプチ整形することに賛成?13% 反対?31%
・自分と関係ない人がプチ整形をすることに賛成?31% 反対?8%

「まだ、外見もその人そのものなんだとは受け入れられないのかもしれませんね。身近な人がキレイになることを喜んで、許容してもいいと思うんですけど、そうではないんですね」

・プチ整形をしろと男性に言われたら?(女性に対する質問)

‘言語道断!’‘外見で判断する人は信用できない’‘そんなこと言う人がいるなんて信じられない’」等々、厳しい答えばっかり。女性は自分でしたいと思っていても、男性から言われることは許せない。

「『見られる』のではなくて、『見せる』ことが大事。昔は内面が外見ににじみ出てくるというような言い方をした。でも、今はにじみ出るのを待つのではなくて、しっかり自分から外見を見せる時代になっている。見せるための技術も様々に生まれている。それを十分に検討した上で、どうしたら自分らしく見せることができるかを選ばなければならない」

「やはり、内面に個性や自分らしさがあるかどうかということですよね。それはつまり、自分の生き方があるかということだと思うのですが」



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