肥満論
written byとぴあ

肥満の原因は約7割が生来の遺伝であるのが定説!ところがその肥満者を自己管理のできない怠け者だ云々と馬鹿にするのは、黒人を肌が黒いと蔑視するのと同様に社会的差別!確かに不健康な肥満は改善しなければならないけれど、それ以外で肥満者が不利益を蒙るのは概して社会的差別が存在するから!つまり太っていること自体が悪いのではなく、太っていることを醜いと感じ蔑視する社会的価値観こそが問題なのです!この社会的偏見があるから逆に健康を害してまでも痩せることに血眼になる愚かな女性が増加し、まんまとエステを太らせている!
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グレリン──食欲増進ホルモン

胃だけでなく脳の視床下部で分泌される「グレリン」というアミノ酸結合物には、摂食を促進する役割があるとする研究結果を、日本の宮崎県の研究グループが、1月11日発行の英科学誌『ネイチャー』(注1)に発表しました。

既に、一定程度摂食した後には脂肪細胞から分泌され血液中を流れて、脳の視床下部に「もう食べなくても良い」という、いわば食欲抑制の情報を伝える「レプチン」というホルモン物質があるということについて言及しましたが
(注2)が、さらに逆に食欲増進の情報を伝えるホルモン物質である「グレリン」の発見も画期的な出来事であると言って良いでしょう。

これまで成長ホルモンの分泌制御は視床下部から出る成長ホルモン分泌促進ホルモンによって制御されることが知られていましたが、この研究はそれとは別に新しい制御系がある可能性を示したものです。

しかもこれは食欲の制御にも関わっており、研究グループは、このホルモンをラットの脳室内に投与すると摂食が促進されて体重が増加することを確認したそうです。そして逆にグレリンにくっつく抗グレリン抗体を投与すると摂食が強く阻害されることも発見しました。この効果は遺伝的に成長ホルモンを欠くラットでも見られたと云います。さらに詳しい分子レベルの解析からグレリンが脳内神経で摂食制御に深く関わっていることを証明しました。

そして最も興味深いのは、「レプチン」と共にこの度の「グレリン」の発見によって、拒食症や過食症、あるいは肥満症が、内的にしろ外的起因(引き金=トリガー)にしろ、ある種のホルモン変化・異常の結果であり、ホルモンを適切に調整すれば、それらの‘病気’も治癒される道が拓かれたということです。報道によると、なんと、すでに人間に応用する臨床実験に入っており、約5年後には新薬が大量生産され実用化される目処が立っているそうです。
(注3)

ただし、薬による安易なホルモン調整によって、体に悪影響が出ないか十分に注意する必要があります。避妊ピルの利用に関して賛否両論がありますが、それ以上に安全性に問題があるでしょう。

過食症から自ら立ち直ったジェニーン・ロスは、過食症からの解放の有効なヒントを呈示しています。それは──

過食症からの第一歩は、空腹のときに食べるということです。


過食症の人々に限らず多くの場合、「栄養や満足感や、健康にかかわりなく食べています。空腹のときに食べるということは、身体の知恵を信頼するということです。身体が、自分の適性体重をよく知っていると信じることなのです」
(注4)と彼女は述べています。

‘肥満恐怖’のあまり、安易に薬などで食欲(空腹感)を抑制することは、身体の正常な生理的反応を混乱させ、悲惨な摂食障害を引き起こすことにもなりかねません。生兵法は大怪我の元だということを十分に肝に銘じなければならないでしょう。
(注5)

(注1)

M. Nakazato et al., Nature, 409, 194-198, 2001
(注2)
「Re:TV番組:肥満の科学」メルマガ2000.08.12号
痩せるメカニズム──レプチン効果
肥満の内と外──パイの量
太るメカニズムとダイエットの基本──レプチン過多と適量化
(注3)
食いしん坊の正体見つけた!? 食欲促す物質
 宮崎の研究者ら英誌に発表『西日本新聞』2001.01.11
http://www.google.com/search?q=cache:www.
yokotomo.com/record/news/news010111.html+
%83O%83%8C%83%8A%83%93&hl=ja
文字化けする場合は、日本語(EUC-JP)に文字コードを
セットして下さい。
(注4)
ジェニーン・ロス『食べ過ぎることの意味──過食症からの解放』誠心書房、斎藤学監訳、佐藤美奈子訳、5頁。
(注5)
痩せるなら、死んでもいい!?──危険な‘やせ薬’

(:2001.3.29初出)


睡眠と肥満

米国のテレビABCのニュースで、睡眠と肥満の関係についてコロンビア大学の研究結果が報じられました。それによると──

「ある研究で睡眠こそ体重管理の重要な要素だと報告された。被験者の睡眠を2晩連続、4時間に制限したところ、10時間睡眠の時に比べて、食欲が24%増加し、糖分、塩分、でんぷんの多い食品を渇望した。血液検査で渇望の原因が判明した。すなわち、睡眠不足によって、食欲をコントロールするホルモン──レプチンとグレリンのバランスが崩れたことが原因だった。」

いずれにしても、睡眠不足だけでなく、ホルモンバランスの崩れが肥満の原因になるということは、一般的には言えるのだと思います。

(:2004.12.07初出)

がんに伴う食欲不振を改善する漢方薬
六君子湯(りっくんしとう →→→ グレリン(食欲促進ホルモン)
※フラボノイド含有 促進  ↑抑
がん →→→ サイトカイン
刺激
ウィキペディア:六君子湯
食欲・性欲・睡眠欲のハッピーバランス

睡眠時間が短いとレプチン(食欲抑制ホルモン)やグレリン(食欲促進ホルモン)のホルモンバランスが崩れて肥満になる傾向があるというコロンビア大の研究について紹介しました(注1)が、日本においてもサンプル調査が実施され、睡眠時間が5時間未満だと通常より1.4倍程中性脂肪が増加する傾向があることが最近実証されました。(注2)

ところで、生物である人間の三大欲求は、食欲・性欲・睡眠欲です。

個人的な経験からも、男性は食べた後に性欲が湧き、コトをなした後には眠気が襲って来るのに対して、女性はナニの前にはおしとやかだった人がコトが終るや猛烈に食欲が湧くのか、ガツガツと食べるという傾向があるように思います。

このことは生物学的にも説明がつきます。例えば交尾の後にオスを食べてしまうメスのカマキリの行動は、産卵のために栄養をつけなければならないという理由があるからです。

♂:→食欲→性欲→睡眠欲→
♀:→睡眠欲→性欲→食欲→

食欲・性欲・睡眠欲の男女のそれぞれのサイクル(上記)の不一致が“性格の不一致”になり男女が別離してしまうことがあるように、いずれかの欲求が満たされなかったり逆に過剰になったりするアンバランス状態だと、肉体的にも精神的にも健全ではありません。「よく食べ・よくして・よく眠る」こと、このバランスを取ることは人間の幸福の基本であると言ってよいでしょう。

(注1)
睡眠と肥満
(注2)
 睡眠時間が短いと肥満をはじめ高血糖、高脂血症などになりやすいことが日本大学医学部の研究で明らかになった。

  2万人以上の健診データ(1999年、2006年)などをもとに解析したもので、それによると睡眠5時間未満という生活を続けた人は、5時間以上の人に比べて肥満のリスクが1・36倍と高い。

 同大の兼板佳孝講師は、「とくに男性においては、短い睡眠時間が肥満を発症する危険因子となることがわかった。その逆として肥満が睡眠時間の短縮にもかかわっているようだ」と話す。睡眠不足と肥満は互いに影響し合うことから悪循環を招きやすく、要注意だ。

 また肥満以上に睡眠時間に影響を受けるのが血糖値。空腹時血糖値は睡眠6時間未満だと3・6倍と非常に高い。ちなみに値が最も低かったのは6時間以上7時間未満だった。さらに7年前のデータと比較し、高血糖がなかった人が新たに高血糖になった人の睡眠時間は、5時間以上を保持していた人を1とすると、5時間未満の人で1・27倍と、睡眠不足を続けているとやがて病気になることも。高脂血症の指標である高トリグリセライド血症も、5時間以上→5時間未満へ減少した群が5時間以上を保持した人の1・42倍だった。

 兼板講師は、「睡眠は短くても長くてもダメ。肥満、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病に影響を与え、心筋梗塞(こうそく)、脳卒中といった病気の引き金になる可能性があるため、今後は睡眠も保健指導などの指針に含めるべきだ。これから睡眠も食事、運動、飲酒、喫煙に次ぐ、第5の生活習慣として着目する必要がある」と指摘。

 メタボ対策にはまず睡眠。忙しくても何とか6時間は確保したいものだ。

(夕刊フジ:2008/3/12)


(:2008.3.17初出)

普通預金型脂肪
.
「太る」ということは、単に体重が増加するということではありません。例えば現役時代の千代の富士(現九重親方)は身長180cm、体重120kgでしたが、決して太っているわけではありませんでした。というのも体脂肪率がたったの15%しかなかったからです。 その分、筋肉がついて体重があれだけあったわけです。

要するに「肥満」しているかどうかは、いわゆる体脂肪率(脂肪の重さ÷体重)の度合によって決定されるのです。

普通、日本人の成人男性の脂肪率の標準値は15〜20%であり、女性の場合は20〜25%であると言われています。それ以上であれば「肥満」していると言われるわけです。

既述したように、いわゆる「体脂肪」には(1)「内臓脂肪 」と(2)「皮下脂肪」があります。(1)は内臓の周囲につく脂肪であり、(2)は特にお腹の周囲や太腿、お尻などの皮膚と筋肉の間につく脂肪です。

一般に(1)は男性につきやすく、(2)は女性につきやすい脂肪です。体型は(1)の場合特に上半身が肥満するリンゴ型になりやすく、(2)は主に下半身が肥満する洋ナシ型になる傾向があります。

ところで(1)の脂肪は、たとえばお金の出し入れが容易な‘普通預金’のように、増減の変化が比較的大きい脂肪であり、それに対して(2)は‘定期預金’のように増減が緩慢な脂肪であると言われています。 内臓脂肪の過剰は特に健康に良くないのですが、しかし適切な運動をしてエネルギーを消費すれば,皮下脂肪よりも比較的容易に減らすことができる脂肪であるわけです。

だからと言って「ガチンコ・ダイエット学院レディース」のように、100kmマラソンをやったからと言って7kgも一気に体重が減少するなどというインチキを信用してはいけません。
(注)実は脂肪1kgを減らすには、なんとフルマラソン3回以上のエネルギー消費が必要だそうです。

(注)
「本当かい、ガチンコ?」メルマガ2000.8.16号


(:2000.11.11初出)

水太り?
「私って、水を飲むだけでも太っちゃうのよ」と嘆いている人がいますが、でもこれは絶対にありえません。

腎臓が正常に働いている限り、例え10リットルの水を飲んだとしても、私たちの体はそのほとんどを尿として体外に出してしまう能力があり、体内には常に約60%の水分が保たれる定常状態になるようなホメオスタティス(恒常化)の機能が働いています。

体外に水分が排出されないとすれば、それは例えば腎臓が悪くて‘むくみ’の状態になっているのであって、「太っている」のではありません。

逆にサウナ風呂に入ってダクダクと汗を流せば1kg位の体重はすぐに減らすことができますが、1リットルの水を補給すればすぐに体重は戻ってしまいます。

それでは体重を元に戻さないために水を飲まないでいれば良いのかと言えば、そんなことをすればそれこそ脱水症状という生命にもかかわる大変なことになってしまいます。利尿剤で体内の水分を無理やり体外に出して一時的に体重を減らしたとしても、「痩せた」というわけではないのです。

‘減肥茶’と称して実は下剤を混入している悪徳ダイエット商品もありますが、これも以上のことから痩身効果があるわけではないのです。

宿便解消商品も、主に便秘を解消することで血液や肌をきれいにする効果があるというものであり、体重を減らすための商品ではありません。

ところで今だにダイエット用品として‘サウナスーツ’というものが雑誌広告に出ていて売られていますが、いくら発汗作用があったとしても痩身には役立ちませんので、そのような目的で買うとすれば、お金の無駄であると断言できます。

そう言えば‘顔面サウナ’という商品もありました。単にサンバイザーにビニールシートを付けただけのような代物で、それをかぶってお風呂に入り、湯気によって顔から汗を出すことで顔痩せさせるという触れ込みの商品でしたが、さすがにこれはもう大バカダイエット商品であることはほとんど誰にでも判ります。でも今だに水蒸気を顔に当てる‘美顔器’が高い値段で売られているということは、買う人がいるからなんでしょうね。

事ほど左様に、1週間やそこらで劇的に減量できると謳っているダイエット食品やダイエット法はほとんどが、単に水分量が一時的に減少した結果に過ぎないものが多いのです。体の中の水分のバランスが崩れるわけですから、劇的であればあるほど、その‘ダイエット’は健康を害する度合いが高くなります。

(:2000.11.10初出)
半身浴は危険!冷温冷浴を!
最近、ぬるま湯に長時間つかる半身浴が注目されています。この入浴法は、全身浴に比べ、体が受ける水圧が少なく、心臓にかかる負担が少ないなど様々なメリットがあると言われています。中でも、大量の汗をかくために、ダイエット効果を期待して女性たちが実践しているようです。

しかし実はダイエット効果はほとんど期待できないばかりか、むしろ健康にとって非常に危険な入浴法であることを認識すべきでしょう。

すなわち、汗が出ていく水分の分だけ体重が減るだけで、体脂肪が減るという意味でのダイエット効果はほとんどないに等しいと言ってよく
(注1)、むしろ逆に大量の発汗は、血液の粘度を上げ、血液をドロドロにしてしまい、様々な疾患を引き起こす原因になるのです。

例えば、ぬる目のお湯に20分つかって半身浴をした後には、体温は約1.4度Cも上昇するのですが、体温が上昇すると、血小板が活性化して、その結果血液の中に血栓ができやすくなります。これが血液がドロドロの状態です。そして血栓ができやすいということは、脳梗塞や心筋梗塞になりやすいということでもあります。

従って、どうしても半身浴をしたいなら、約500ccの水分が汗として失われるそうですから、入浴後ばかりでなく前にも十分に水分を補給する必要があります。

この半身浴に対して、「冷温冷浴」
(注2)は、減量という意味でのダイエット効果があるわけではありません(注3)が、血液をサラサラにするという意味では体に良い入浴法です。方法はまず17度Cの水風呂に1分間つかり、その後すぐに42度Cの温水にまた1分間つかることを交互に繰り返します。

まず水に入ると毛細血管が収縮しますが、そうすると心臓から来た動脈血は、グルームス(血管糸球)に流れそこを通り、静脈に流れます。グルームスとは、血流の循環を良くするためのバイパスであり、いわば皮膚表面の血管と内側の血管の中間にある弁です。(図の】【がグルームス。)

  皮膚表面
____________________________________
→→→→→→→→→→血管
 |        |
 |→→】【→→|
 ↑        ↓
→→→→→→→→→→血管

こうして皮膚表面への血流を抑制するわけですが、逆に温かくなると、今度は弁(グルームス)を閉めて、皮膚表面の血管の方に血液を流して、熱を逃がすようにするという仕組みになっています。

このグルームスが駄目になると、血管が詰まり出血しやすくなりますが、逆にグルームスが正常に働いていると、血流の循環が良くなり、シミやソバカスもなくなり、美肌効果もあるようです。

風呂桶が2つあるお宅はそうないでしょうから、シャワーを利用すると良いでしょう。まず冷水シャワーを浴びた上で湯船に入ることを9回繰り返し、最後に冷水シャワーを浴びることで終了するわけです。(この順序からすると‘温冷浴’というよりも「冷温冷浴」と言った表記の方が良いと思います。)冬などは冷水を全身に浴びることが辛い場合は、グルームスが集中している膝下に冷水シャワーをかけるだけでも良いでしょう。

(TBSテレビ系『オフレコ!』2001.1.31放送参照)

(注1)
水太り?
(注2)
通常、‘温冷浴’と言われていますが、本文で説明する理由により、「冷温冷浴」という呼び方が適切だと思うので、これを使用します。
(注3)
水太り?
太った人がおっとりしている理由

勿論、個別には当てはまらない場合もありますが、一般的に、太っている人には、おっとりした性格の人が多いのではないでしょうか?肥満体質の人の性格が比較的穏やかである理由について、生理学的にも説明できるかも知れません。あくまでも仮説として考察してみましょう。

人体が消費するエネルギーの割合としては、一般的に、まず(1)横たわって何もしない状態で体温や生命活動を維持する基礎代謝に約60%、(2)体を動かすために使われるエネルギーに約30%、(3)消化吸収に利用されるなど残りの分に約10%使われます。

「太る体質」や「太らない体質」があるとすれば、それは特に基礎代謝量
(注1)の相違が影響しています。すなわち基礎代謝量が少なければ、相対的にエネルギー消費が少なく余分なエネルギーが残るので、それが体脂肪として蓄えられやすく、基礎代謝量の少ない人は太る傾向のある体質だと言えます。

概して、この基礎代謝量は女性の方が男性よりも少ないので女性の方がふくよかな人が多く、また中年以降は基礎代謝量が低下する傾向があるので‘中年太り’の人が増えます。

なお、平常時体温が低い人は、体温維持に必要なエネルギーが少なくてすむため、その分のエネルギーが脂肪に変わりやすく太る傾向にあります。

体温調節は自律神経の一環ですが、この自律神経は1)交感神経と2)副交感神経によって成り立っています。1)は、主に活動を、2)は沈静をそれぞれ司っています。

この2つは通常は均等に働くものですが、1)が優勢で基礎代謝量が多く活動的な人に比べて、2)が優勢な人は基礎代謝量が少なくなるので、余ったエネルギーは脂肪に変えられる傾向が強いわけです。

1)や2)の働きは、性格形成にも影響しており、活動が控え目でおっとりした性格の人は2)の働きが優勢な人であり、従ってそのような性格の持ち主には太った人が多いということは、生理学上は言えるのではないでしょうか。

因みに、概して、太った人がおっとりした性格であるということが、太った人間は、‘ドジ’だとか怠け者だと誤解される一因かも知れません。(注2)

(注1)

基礎代謝量の測定は下記サイトでできます。
http://www.miyabi.com/diet/ja/jasya.html
(注2)
カロリー一元論の落し穴

(:2000.11.11初出)


ダイエット・ハイの罠──拒食症

誤解を解くために是非、指摘したいのは、‘ダイエット’すると心身ともに‘スッキリ’して、何事にもやる気がでるという一般常識に関してです。

実は、食事制限などをして‘ダイエット’をすれば、空腹になりますが、その空腹は、活動を司る自律神経の交感神経
(注1)にスイッチを入れるシグナルです。(注2)空腹は体が生命の危機を感じているという生理的反応ですから、その‘危機’を脳が察知して交感神経を始動させ‘臨戦態勢’に入って、食物を探すために、活発に行動しようとするのは当然です。

この一時的な‘ハイ’の状態を勘違いして、‘ダイエット・ハイ’と呼び、絶食のような無茶な行為を続けて行くなら、当然、体に食物が供給されずに栄養が行き渡らないのですから、しまいには体は萎え衰え、普通の活動も覚束なくなるのは目に見えています。

「やせて健康になったから、テキパキ身体が動くんじゃなくて、空腹のせいで落ち着かないだけ。やせて体質改善されたから、目覚めがよくなったんじゃなくて、空腹のために睡眠が浅いだけ。やせて自信がつき、自己主張できるようになったんじゃなくて、空腹でテンションが高くなり、ピリピリしているだけ、そういうことなのです。」
(注3)

逆に、食後、満腹になれば、沈静を司る自律神経の副交感神経が働いて、活動は弛緩(しかん)します。これで、体はリラックスして休まるのですが、それを、‘ぐったり’と活動が鈍ったと悪く考え、不健康な兆候と勘違いしてしまい、その結果、太って不健康にならないために、食事制限をしてやせようという方向に行ってしまうのは問題です。
(注4)

このような勘違いが、‘拒食症’
(注5)の引き金になってしまうことがあるわけで、今回言及したように少しの程度でも良いですから、基本的な生理学的な基礎知識の流布の必要を痛感します。

(注1)
太った人がおっとりしている理由」で自律神経の交感神経と副交感神経について言及しています。
(注2)
「空腹になると体脂肪が分解されて、遊離脂肪酸が増える。そのプロセスを詳しく言うと、空腹によるストレスは、まず脳下垂体からACTH(副腎刺激ホルモン)を分泌させ、ATCHはその名のとおり、副腎の皮質を刺激して副腎皮質ホルモンを出させます。副腎皮質ホルモンが出ると、副腎の髄質からノルアドレナリンやアドレナリン、モルヒネ様物質などが分泌されます。これらのACTH、副腎皮質ホルモン、ノルアドレナリン、アドレナリンはすべて脂肪の分解を促進する物質で、血中の遊離脂肪酸がどんどん増えていきます。こうした一連の流れは、自律神経の交感神経の働きによって行われ、交感神経が活発になると脂肪の分解が進みます。」森川那智子『みんな、やせることに失敗している』JICC出版局、79頁。
グレリン──食欲増進ホルモン」も参照。
(注3)
前掲書、80頁。
(注4)
前掲書、136頁。
(注5)
‘過食症’と同様に、社会・文化的文脈で論じる予定です。

(2003.5.14初出)


別腹の罠──過食症

「デザートは別腹よ」とよく彼女が言うのを聞いたことがあると思います。

主食の前にケーキやあんみつやアイスクリーム
(注1)などの甘味類を食べてしまうと、もう主食を食べる欲求が失せてしまうのが普通です。これは、たんぱく質や脂肪に比べて、穀物、イモ類や、とりわけ砂糖に含まれている糖質は消化吸収が速く、血液中の血糖値を急激に上昇させるからです。血糖値が上がると、脳は栄養が満たされたと思い込み、一時的に満腹感を感じてしまうのです。

ステーキ(たんぱく質)などのメインデッシュの後にケーキ(糖質)などのデザートが食べられてしまう、いわゆる‘別腹’が可能なのは、たんぱく質や脂肪がゆっくりと消化され脳がまだ満腹感を感じていない間に味覚の違う消化の速い甘味類を食べるからです。

しかしそれを良いことに、たくさんのお菓子を食べ続けるとどうなるでしょうか?急激な血糖値の上昇に反応して、それを下げるためにすい臓からインシュリンが過剰に分泌されることになります。その結果、今度は一気に血糖値が下がり、一時間半から二時間後には、過食する前よりも血糖値が低下してしまうという、低血糖状態に陥ってしまいます。

低血糖になると、頭痛・肩こり・だるさ・抑うつ・不安・イライラなどの不快症状が現われ、身体はその不快を解消しようともっと甘いものを欲っしてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
(注2)

‘過食’が止められずに、‘食物依存’に陥ってしまう‘過食症’の生理学的反応は、このような悪循環ということで理解できるケースが多いのです。
(注3)

なお、一般的に男性より女性が甘党でお菓子好きなのは、生理的に説明できます。すなわち、女性ホルモンが減ると脳内のセロトリンという化学物質が減り精神的にイライラしてしまうのですが、甘味類を摂るとブドウ糖がすぐに吸収され、セロトリンを増やすことができるのです。

最近、コンビニで買ってきたスナック菓子だけを食べて生活するような食行動をとる若者が増えているそうです。しかし、一時的に満腹感を得られたとしても、体に必要な栄養が満たされていないのですから、結局栄養を満たそうとして、いつまでものべつお菓子を食べ続けることになります。長い時間のスタンスでは満腹感を得られることはなく、栄養不良になって健康を害してしまうのは言うまでもありません。

念のために言うと、例えば、胃袋を食物で満タンにしても、脳の現象である満足感が得られるわけではありません。
(注4)

この意味で、カロリーゼロだとしてもてはやされている‘こんにゃくダイエット’も勘違いダイエットの一種です。繊維質以外の栄養がないわけですから、お腹はいっぱいになったとしても、欠けた栄養分を摂取しようとして、体はそれを欲求し、食欲はいつまでも止むことはありません。要するに、‘単品ダイエット’は意識的に‘偏食’行為をしているようなものであり、必要な栄養素が摂取されない限り、ストレスを増加させ、飢餓感を増し、結果的に過食してしまい、ダイエットとしてはまったくの逆効果になるものであり、総じて‘間違ったダイエット’であると断言して良いでしょう。

(注1)
4月1日はアイスクリームダイエットがお薦め!

(注2)
森川那智子『みんな、やせることに失敗している』JICC出版局、126-129頁。
(注3)
勿論、‘拒食症’と同様に社会・文化的文脈でも論じる予定です。

(注4)
痩せるメカニズム──レプチン効果
太るメカニズムとダイエットの基本──レプチン過多と適量化
グレリン──食欲増進ホルモン

(:2000.11.10初出に加筆)

子供は太目好き

日本テレビ「ニュースプラス1」で次のような2つの小さな実験をしていました。
(注)

(1)回転すしで食欲大実験ダイエットに効果抜群 青は減!?オレンジ増!?ビックリ不思議な現象

色によって食欲がどのように変化するかの実験を紹介していました。回転すし屋のテーブルを青とオレンジに分けて、一日に食べられた皿の数を比較したところ、青色は食欲減退、オレンジ色は食欲を増進するという明らかな結果が出ました。

専門家によると、オレンジ色の方が、食欲だけでなく、性欲も増進する効果がみられるそうです。

消費を喚起するために、売る側は色々な‘欲望’喚起装置を仕込んでいるのであり、自分の本来の自然な‘欲求’であると思っていた反応が、実は条件反射の‘パブロフの犬’と同じような条件反射でしかなかったり、‘欲求’以上についつい‘欲望’してしまい、過剰な消費をしてしまうことは多いのだと思います。

(2)子供は太った女性が大好き!奇妙な行動を(秘)分析

男女各30名づつの幼稚園児を集め、太った体型の女性と痩せた体型の女性のどちらを好むかの実験をしていました。2人の女性は顔に熊のぬいぐるみをかぶせられているので、体型だけで判断して、どちらの女性に寄って行くのかで、子供たちの好みの体型を判断するという実験です。

結果は、女児:23名対7名 男児:22名対8名

男女いずれも、圧倒的に、太った女性の方に行く子供たちの方が多い結果でした。しかも、痩せた女性を、子供たちは遠巻きに見ているだけなのに、太った女性には、子供たちは積極的に体に触ろうとしていました。

なぜ太った女性を選んだのか、その理由を尋ねると、こういう意見が出ていました。

「かわいいから」
「すごくやさしそうだから」
「だって好きなんだもん」

なにぶん、小集団に対する実験なので、もう少し厳密な検討は必要でしょうけれど、このような子供たちの行動や意見は、「社会的な偏見に未だ囚われていない人間の自然で素直な反応である」と一応、仮定するならば、それに対して、痩身な女性を好む(‘欲望’する)という、現代の日本社会の多数の大人たちの嗜好性が、実は社会的な影響の結果であるという推論もできるのかも知れません。

どちらの実験にしても、本来の‘自然な欲求’というものとは何かを考えさせられるものであると思います。

(注)
2002.1.18放送

(2002.1.18初出)


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